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【簿記2級】原価差異分析

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 簿記2級(工業簿記)の原価差異分析に関する、理論的な部分を重視したメモ書きです。

 製造間接費については、メインは別記事(シュラッター図を使わない製造間接費の差異分析)なので、本記事では概要と公式のみざっと掲載しただけです。

 当サイトにおける日商簿記2級関連の記事は、2022年度のCBT受験用に作成した自分用のメモをベースに公開しています。試験範囲の変更等には対応していないのでご注意下さい。

目次

原価差異分析:直接材料費

 直接材料費差異は、価格差異と数量差異に分かれます。

価格差異

 価格差異とは、標準単価と実際単価の違いから発生する差異。材料の価格変動などが原因で発生します。価格差異は「(標準単価-実際単価)×実際消費量」で求めます。

 考え方としては、

標準よりも安い材料を使った…有利差異(貸方差異)

標準よりも高い材料を使ってしまった…不利差異(借方差異)

です。標準直接材料費…標準単価@500円/標準消費量5kg=2,500円とした場合、

標準よりも安い材料(@490円)を使った…標準単価@500円に対して10円安い材料を使用しているため、@10円×標準消費量5kg=50円の有利差異

標準よりも高い材料(@510円)を使ってしまった…標準単価@500円に対して10円高い材料を使用しているため、@10円×標準消費量5kg=50円の不利差異

となります。

数量差異

 数量差異とは、標準消費量と実際消費量の違いから発生する差異。材料の無駄などが原因で発生します。数量差異は「標準単価×(標準消費量-実際消費量)」で求めます。

 考え方としては、

標準よりも使用した材料が少なかった…有利差異(貸方差異)

標準よりも使用した材料が多くなってしまった…不利差異(借方差異)

です。標準直接材料費…標準単価@500円/標準消費量5kg=2,500円とした場合、

標準よりも使用した材料が少なかった(4kg)…標準消費量5kgに対して使用した材料が1kg少なかったため、標準単価@500円×1kg=500円の有利差異

標準よりも使用した材料が多くなってしまった(6kg)…標準消費量5kgに対して使用した材料が1kg多くなってしまったため、標準単価@500円×1kg=500円の不利差異

となります。

例題:直接材料費

標準直接材料費…標準単価@500円/標準消費量5kg=2,500円
実際直接材料費…実際単価@490円/実際消費量6kg=2,940円

直接材料費差異:標準直接材料費2,500円-実際直接材料費2,940円=△440円
価格差異:(標準単価500円-実際単価490円)×実際消費量6kg=60円
数量差異:標準単価500円×(標準消費量5kg-実際消費量6kg)=△500円

原価差異分析:直接労務費

 直接労務費差異は、賃率差異と時間差異に分かれます。

賃率差異

 賃率差異とは、標準賃率と実際賃率の違いから発生する差異。単純作業を賃率の高い工員が行なったことなどが原因で発生します。賃率差異は「(標準賃率-実際賃率)×実際直接作業時間」で求めます。

 考え方としては、

標準よりも安い賃率の工員が作業した…有利差異(貸方差異)

標準よりも高い賃率の工員が作業した…不利差異(借方差異)

です。標準直接労務費…標準賃率@1,000円/標準直接作業時間3時間=3,000円とした場合、

標準よりも安い賃率(@980円)の工員が作業した…標準賃率@1,000円に対して作業した工員の賃率が20円安かったため、20円×標準直接作業時間3時間=60円の有利差異

標準よりも高い賃率(@1,020円)の工員が作業した…標準賃率@1,000円に対して作業した工員の賃率が20円高かったため、20円×標準直接作業時間3時間=60円の不利差異

となります。

時間差異

 時間差異とは、標準直接作業時間と実際直接作業時間の違いから発生する差異。作業能率低下などが原因で発生します。時間差異は「標準賃率×(標準直接作業時間-実際直接作業時間)」で求めます。

 考え方としては、

標準よりも作業時間が短かった…有利差異(貸方差異)

標準よりも作業時間が長くかかってしまった…不利差異(借方差異)

です。標準直接労務費…標準賃率@1,000円/標準直接作業時間3時間=3,000円とした場合、

標準よりも作業時間が短かった(2時間)…標準直接作業時間3時間に対して作業時間が1時間短かったため、標準賃率@1,000円×1時間=1,000円の有利差異

標準よりも作業時間が長くかかってしまった(4時間)…標準直接作業時間3時間に対して作業時間が1時間長くかかってしまったため、標準賃率@1,000円×1時間=1,000円の不利差異

となります。

例題:直接労務費

標準直接労務費…標準賃率@1,000円/標準直接作業時間3時間=3,000円
実際直接労務費…実際賃率@980円/実際直接作業時間4時間=3,920円

直接労務費差異:標準直接労務費3,000円-実際直接労務費3,920円=△920円
賃率差異:(標準賃率1,000円-実際賃率980円)×実際直接作業時間4時間=80円
時間差異:標準賃率1,000円×(標準直接作業時間3時間-実際直接作業時間4時間)=△4,000円

製造間接費の予算額

 製造間接費については、差異分析の前にまず予算の設定方法について確認します。

 製造間接費の標準配賦率は、1年間の製造間接費の予算額を見積り、これを1年間の基準操業度(直接作業時間を準値とする場合が多い)で割って求めます。この予算額の設定方法には固定予算と変動予算があります。

固定予算

 実際作業操業度が基準操業度と違っていたとしても、基準操業度における予算額を製造間接費の予算額とする方法です。

例)固定予算を10,000円と設定した場合、実際操業度が180時間でも200時間でも予算は10,000円になります。

変動予算

 様々な操業度に対して設定した予算額を製造間接費の予算額とする方法です。

例)操業度1時間1,000円
⇒操業度100時間100,000円
⇒操業度150時間150,000円

公式法変動予算

 変動予算の中でも、製造間接費を変動費(操業度に比例して発生する原価)と固定費(操業度に比例せず固定的に発生する原価)に分けて予算を設定する方法を公式法変動予算といいます。

 公式法変動予算では、変動費率(操業度1時間あたりの変動費)に実際操業度を掛けた金額を変動費の予算額とし、変動費予算額と固定費予算額を合計して予算額(予算許容額)を決定します。

原価差異分析:製造間接費

 製造間接費差異は、予算差異、操業度差異、能率差異に分かれます(3分法)。能率差異は変動費能率差異と固定費能率差異に分ける方法(4分法)もありますが、試験は主に3分法で出題されるようなので、ここでは省略します。

予算差異

 予算差異とは、予算許容額と実際発生額の差から発生する差異。予算差異は「予算許容額(変動費率×実際操業度+固定予算額)-実際発生額」で求めます。

操業度差異

 操業度差異とは、生産設備の利用度を原因として発生する固定費部分の差異。操業度差異は「固定費率(操業度1時間あたりの固定費)×(実際操業度-基準操業度)」で求めます。

能率差異

 能率差異とは、作業能率を原因として発生する差異。能率差異は「標準配賦率(変動費率+固定費率)×(標準操業度-実際操業度)」で求めます。

シュラッター図を使わずに製造間接費の差異分析をする方法

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