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【FP3級】相続・事業承継:相続の基本
FP3級の試験範囲は大きく6つに分かれています。そのうちの1つである「相続・事業承継」より、「相続の基本」に関するメモです。
相続とは
死亡した人(被相続人)の財産を残された人(相続人)が承継することを相続といいます。ここでいう財産とは、現金や土地などの資産のほか、借入金などの負債も含みます。
直系尊属と直系卑属
被相続人から見て、父母や祖父母のことを直系尊属、子や孫のことを直系卑属といいます。兄弟姉妹などは尊属にも卑属にも該当しません。
法定相続人
民法では、相続人の範囲を被相続人の配偶者と一定の血族に限っており、これを法定相続人といいます。
相続人の範囲と順序
被相続人の配偶者は常に相続人となり、血族相続人には優先順位があります。
- 第1順位…子
- 第2順位…直系尊属
- 第3順位…兄弟姉妹
例)子がいない場合は父母が相続人となります。
代襲相続
相続開始時に、相続人となることができる人の相続権がなくなっている場合に(死亡など)、その人の子(被相続人から見て孫、甥、姪)が代わりに相続することができます。これを代襲相続といいます。
相続分
相続人が複数いる場合に、各相続人が遺産を相続する割合を相続分といいます。
指定相続分
遺言で指定された相続分を指定相続分といい、法定相続分より優先されます。
法定相続分
民法で定められている相続分を法定相続分といいます。同順位に相続人が複数いる場合は均分します。
配偶者のみ | 配偶者が全て相続 |
配偶者と子 | 配偶者1/2、子1/2 例)子が2人の場合 子1/2を均分するため、それぞれ1/4となります。 |
配偶者と直系尊属 | 配偶者2/3、直系尊属1/3 例)父母がともに相続人の場合 直系尊属1/3を均分するため、父母それぞれ1/6となります。 |
配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4 例)兄弟姉妹が2人の場合 兄弟姉妹1/4を均分するため、それぞれ1/8となります。 |
相続の承認と放棄
相続人は、被相続人の財産を相続するかどうかを選択することができます。
単純承認
被相続人の財産を全て承継することを単純承認といい、民法ではこれが原則となっています。相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内に、限定承認や放棄を行なわなかった場合は、単純承認したものとみなされます。
限定承認
被相続人の財産のうち、資産の範囲内で負債を承継することを限定承認といいます。例えば、相続財産に自宅(200万)と借入金(1,000万)があった場合、自宅相当の借入金(200万円)は相続しますが、残り(800万円)は放棄するという方法です。限定承認をするためには、相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内に、相続人全員で家庭裁判所に申し出る必要があります。
相続放棄
被相続人の財産を全て承継しないなど、相続人とならなかったものとすることを相続放棄といいます。相続放棄をするためには、相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所に申し出る必要があります。限定承認と異なり、相続人全員で行なう必要はありません。
限定承認と相続放棄のどちらを選ぶか
一般的に、負債の方が大きい状況にあることが明らかな場合は相続放棄を選択します。負債の方が大きい状況にあるかどうかが不明な場合や、住居などどうしても手放したくない財産がある場合には限定承認を選択します。
遺産分割
相続財産を相続人で分けることを遺産分割といいます。
指定分割
遺言で指定された遺産分割を指定分割といい、協議分割より優先されます。
協議分割
相続人全員の協議によって遺産を分割する方法を協議分割といいます。
協議分割が成立しない場合
協議分割が成立しない場合は、家庭裁判所が間に入って話し合いをする調停によって分割します。また、調停によってもまとまらなかった場合は、家庭裁判所が判断を下す審判によって分割します。
遺産分割の方法
遺産分割には、現物のまま分割する現物分割、全部または一部をお金に換えてそれを分割する換価分割、ある相続人が遺産を現物で取得し、他の相続人に現金など自分の財産を支払う代償分割があります。
遺言
生前に自分の意思を示しておくことを遺言といい、遺言によって財産が相続人等に移転することを遺贈といいます。
遺言は満15歳以上で、意思能力があれば誰でも行なうことができます。遺言の内容はいつでも全部または一部を変更することができ、遺言書が複数ある場合には作成日の新しいものが有効となります。
証人と検認
遺言の種類によっては作成時に証人が必要であったり、家庭裁判所が遺言を確認して偽造等を防止するための検認が必要になります。なお、未成年者、推定相続人、受遺者、推定相続人・受遺者の配偶者や直系血族、公証人の配偶者、四親等内の親族、書記、使用人などは証人になることができません。
遺言の種類
遺言には普通方式遺言と特別方式遺言があります。
普通方式遺言
自筆証書遺言
遺言者が全文、日付、氏名を自書し、押印します。財産目録は、ページごとに署名・押印すればパソコンなどで作成が可能です。原本は法務局で保管することもできます。
公正証書遺言
遺言者が口述し、公証人が筆記して作成します。原本は公証役場に保管されます。
秘密証書遺言
遺言者が遺言書に署名・押印し、封印して、公証人が日付等を記入して作成します。遺言の内容は秘密にして存在だけを証明してもらう方法で、パソコンでの作成や代筆も可能です。
普通方式遺言の証人と検認
種類 | 証人 | 検認 |
自筆証書遺言 | 不要 | 必要 法務局保管の場合は不要 |
公正証書遺言 | 2人以上 | 不要 |
秘密証書遺言 | 2人以上 | 必要 |
特別方式遺言
特別方式遺言は、遺言者の死亡が迫っている場合など、普通方式による遺言ができない場合に限って認められる遺言のことをいいます。
遺留分
遺言によって、特定の人に財産を全て遺贈することが可能ですが、その場合は残された家族が生活できなくなる事態が発生します(赤の他人に遺贈することもできるので)。民法では、これを防止するために一定の相続人が最小限の遺産を受け取ることができるように遺留分を定めています
遺留分権利者と遺留分の割合
遺留分を請求する権利がある遺留分権利者は、配偶者、子(直系卑属)、父母(直系尊属)のみで、兄弟姉妹には権利がありません。遺留分の割合としては、父母(直系卑属)のみが遺留分権利者の場合は1/3、その他の場合は1/2となっています。
遺留分侵害額請求権
遺留分権利者がその権利(遺留分)を侵害された場合は、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます。これを遺留分侵害額請求権といいます。これには期間の制限があり、相続の開始及び遺留分の侵害を知った日から1年(消滅時効)、または、相続開始から10年(除斥期間)となっています。
例)相続人が配偶者のみで遺産が1,000万円の場合
配偶者には遺留分として1/2である500万円を受け取る権利があります。遺言によって愛人に800万円、配偶者に200万円が指定されていた場合、配偶者は差額の300万円を侵害されているので、愛人に対して300万円の遺留分侵害額請求権を行使することができます。
法定相続分と遺留分の具体例
配偶者のみ
配偶者は常に相続人であり、他に相続人がいなければ配偶者が全て相続します。
相続人 | 法定相続分 | 遺留分 |
配偶者 | 1/1 | 1/2 |
子のみ
配偶者(常に相続人)がいないので、子(第1順位)が全て相続します。子が複数いる場合は均等分割します。
相続人 | 法定相続分 | 遺留分 |
子 | 1/1 | 1/2 |
相続人 | 法定相続分 | 遺留分 |
子A | 1/2 | 1/4 |
子B | 1/2 | 1/4 |
配偶者と子
配偶者(常に相続人)と子(第1順位)がいるので、1/2ずつ相続します。子が複数いる場合は均等分割します。
相続人 | 法定相続分 | 遺留分 |
配偶者 | 1/2 | 1/4 |
子 | 1/2 | 1/4 |
相続人 | 法定相続分 | 遺留分 |
配偶者 | 1/2 | 1/4 |
子A | 1/4 | 1/8 |
子B | 1/4 | 1/8 |
配偶者と直系尊属
配偶者(常に相続人)がおり、子(第1順位)がいないので、配偶者2/3、直系尊属(第2順位)1/3で相続します。直系尊属が父母ともに健在であれば均等分割します。
相続人 | 法定相続分 | 遺留分 |
配偶者 | 2/3 | 1/3 |
直系尊属 | 1/3 | 1/6 |
相続人 | 法定相続分 | 遺留分 |
配偶者 | 2/3 | 1/3 |
直系尊属 父 | 1/6 | 1/12 |
直系尊属 母 | 1/6 | 1/12 |
直系尊属のみ
配偶者(常に相続人)も子(第1順位)もいないので、直系尊属(第2順位)が全て相続します。直系尊属が父母ともに健在であれば均等分割します。
相続人 | 法定相続分 | 遺留分 |
直系尊属 | 1/1 | 1/3 |
相続人 | 法定相続分 | 遺留分 |
直系尊属 父 | 1/2 | 1/6 |
直系尊属 母 | 1/2 | 1/6 |
配偶者と兄弟姉妹
配偶者(常に相続人)がおり、子(第1順位)と直系尊属(第2順位)がいないので、配偶者3/4、兄弟姉妹(第3順位)1/4で相続します。兄弟姉妹が複数いる場合は均等分割します。
相続人 | 法定相続分 | 遺留分 |
配偶者 | 3/4 | 1/2 |
兄弟姉妹 | 1/4 | – |
相続人 | 法定相続分 | 遺留分 |
配偶者 | 3/4 | 1/2 |
兄弟姉妹 A | 1/8 | – |
兄弟姉妹 B | 1/8 | – |
兄弟姉妹のみ
配偶者(常に相続人)、子(第1順位)、直系尊属(第2順位)がいないので、兄弟姉妹(第3順位)が全て相続します。兄弟姉妹が複数いる場合は均等分割します。
相続人 | 法定相続分 | 遺留分 |
兄弟姉妹 | 1/1 | – |
相続人 | 法定相続分 | 遺留分 |
兄弟姉妹 A | 1/2 | – |
兄弟姉妹 B | 1/2 |
まとめ
(常に相続人) | 配偶者(第1順位) | 子(第2順位) | 直系尊属(第3順位) | 兄弟姉妹|
配偶者のみ | 法定相続分:1/1 遺留分:1/2 | – | – | – |
子のみ | – | 法定相続分:1/1 遺留分:1/2 | – | – |
子 | 配偶者と法定相続分:1/2 遺留分:1/4 | 法定相続分:1/2 遺留分:1/4 | – | – |
直系尊属 | 配偶者と法定相続分:2/3 遺留分:1/3 | – | 法定相続分:1/3 遺留分:1/6 | – |
直系尊属のみ | – | – | 法定相続分:1/1 遺留分:1/3 | – |
兄弟姉妹 | 配偶者と法定相続分:3/4 遺留分:1/2 | – | – | 法定相続分:1/4 遺留分:なし |
兄弟姉妹のみ | – | – | – | 法定相続分:1/1 遺留分:なし |